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猫の事務所には猫の書記がいて、
地理や歴史を調べるのが仕事でした。
事務長は黒猫、一番書記は白猫、
二番書記は虎猫、三番書記は三毛猫、
そして、四番書記は竈猫(かまねこ)でした。
竈猫というのは、かまどの中に入って寝る癖があるため、
いつもすすで汚く、他の猫に嫌われているのでした。
この竈猫も、上三人の書記から酷く嫌われておりましたが、
竈猫仲間が、自分が書記になったのを名誉と喜ぶので、
つらくてもがんばろうと決心するのでした。
ある日、竈猫はひどい風邪を引いて、
事務所をお休みしてしまいました。
翌朝、風邪の治った竈猫は、喜んで事務所に出かけました。
ところが、大切な原簿が
竈猫のいないうちに他の猫たちに分けられてしまいました。
原簿がなくては、仕事ができません。
うなだれる竈猫の前に、獅子が現れ……
宮沢賢治の短編を脚色し、
生演奏のピアノとともにお届けしました。
2001年度フェリス女学院大学演劇部新入生歓迎公演、
そして、同大学に新築された
キダーホールこけら落とし公演でもありました。 |
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